IRATAとは

IRATA(アイラタ)は1980年代後半に英国で設立した、世界最大の産業用ロープアクセスの協会です。2023年現在、全世界で約668社メンバー企業登録されおり、約9万人の技術者が世界で活躍しています。
そして、メンバー企業のロープアクセス技術者が毎年2200万時間以上行うロープアクセス作業から得られる膨大な報告データを元に安全分析を行う事で、IRATAのTwo-rope、fail-to-safe方式が高所作業において安全かつ有効的な技術であることを実証してきました。

IRATAのロープアクセス技術は、ロープと関連ディバイスを使用して、その他の足場の工法ではアクセスが困難な場所に、安全にアクセスを行う高所作業の方法です。
石油・ガス業界のオフショアでの高所作業の安全性・有効性の向上だけでなく、オンショアでも高層ビルや橋梁、鉄塔、プラント、風力発電機などの修理・保守・検査でも価値ある技術であることが実証されています。

2023年には長年取得を目指していた「ISO17024」を取得し、産業用ロープアクセス関する認証を行うことが認められました。

日本国内のIRATAの普及について

日本国内には2008年頃IRATA技術が入って来ました。日本の国内法では「ロープ高所作業特別教育」修了が作業を行う最低条件となっているため、各技術者や所属団体(会社)の経験値や技術的・安全性スキルを測る指標が無いに等しい状況でした。
IRATAのスキームは技術者や所属団体等のスキルレベルを可視化できるため、今後日本国内でもロープアクセス技術を用いた作業を行う上で資格取得は大きなメリットとなると期待されています。

現在では国内にGRAB合同会社を含め数社IRATAトレーニングを提供できるメンバー企業が存在し、日本人のIRATA有資格者は500名を超え、年々技術者登録が増えてきています。

IRATAの資格制度について

IRATAには安全性の問題を規制及び管理するための3つの広範なスキームがあります。

  1. 国際行動規範(ICOP:instruction Code of Practice)
  2. トレーニング、評価、および認定スキーム(TACS:Training Assessment Certification Scheme)
  3. 会員企業の監査

特にIRATA技術を保持もしくは取得するためには、2.の”TACS”に従ってトレーニング及び評価を受ける必要があります。

IRATAのレベルについて

IRATA技術資格はスキルや実務経験に応じて3つのレベルで構成され、各レベル取得の為のトレーニング内容は異なります。
各レベルともトレーニングは「実技」と「理論」の2部構成となります。

【各レベルのトレーニングの目的と概要】

  • レベル1トレーニング
    高所作業、ロープアクセスの基礎知識を身につけ、作業者自身が安全にロープアクセス技術が使用できるようトレーニングします。
  • レベル2トレーニング
    一定の実務経験を積んだレベル1技術者がチャレンジするレベルです。
    低難易度から中難易度のレスキュー技術・知識を主として学びます。
  • レベル3トレーニング
    現場での作業計画、安全管理、監督を行う為の知識、技術習得を主とします。
    高難易度のレスキュー技術やチームレスキュー、リスクアセスメント等を含めたトレーニングとなります。

【各レベルの受講に際しての要件】

  • レベル1トレーニング
    18歳以上で、高所作業に際し身体・健康上の問題が無いこと、経験不問
  • レベル2トレーニング
    IRATAレベル1資格が有効期限内であり、レベル1資格取得から最低12ヶ月間が経過し、1000時間以上の作業記録がログブックで確認出来る事。
  • レベル3トレーニング
    IRATAレベル2資格が有効期限内であり、レベル2資格取得から最低12ヶ月間が
    経過し、1000時間以上の作業記録がログブックで確認出来る事。

詳しくは下記リンクを参照して下さい。
リンク:IRATAトレーニングスキーム フローチャート

資格の有効期限について

資格の有効期限は資格取得から3年間です。
3年毎の更新性となっており、更新時には規程のトレーニングと評価を受け合格した場合は3年間の有効期限を更新する事ができます。

資格取得に必要なトレーニングと評価(アセスメント)

各レベルとも最低4日間のトレーニングを受け、独立した1日間の評価(アセスメント)に合格する必要があります。
※GRAB合同会社では任意でトレーニング期間を5日間としています。

評価:アセスメントについて

IRATAでは第3者による技術評価が重要としルール付けられています。
IRATAアセスメントは、”受講者、受講者の所属する会社、トレーニングを行う団体から独立した者が行わなければならない”となっており、厳正な技術評価が行われています。
アセスメントはトレーニングと同様、「実技」と「理論」の2部構成で行われます。